議会活動報告

2021年川崎市議会第1回定例会(3月議会)詳報・その1

2021年3月18日

2021年川崎市議会 第1回定例会(3月議会)・3月10日の予算審査特別委員会で、おおば裕子議員が行った【リニア新幹線工事について】の質問は、次の通りです。

(1)リニア新幹線工事についてです。

大庭 質問①
2021年度、リニア新幹線の建設発生土を受け入れるための東扇島堀込部土地造成事業、施設整備費に6億9,500万円余が計上されています。
そこで関連して、リニア新幹線工事について伺います。
2020年10月、調布市の東京外郭環状道路のトンネル工事のルート上で、住宅地の市道での陥没、地下で空洞が発生する事故がおきました。
「大深度地下のシールド工法工事による地盤沈下はおきることはない」としてきたこれまでの説明が成り立たたなくなったことを私たちは12月の代表質問で指摘しました。さらに事故原因が明らかにされない中で、リニア新幹線のシールド工事の着工はやめるよう、JR東海に申し入れるべきと質しました。まちづくり局長は、JRへ安全対策等について対応を図ると答弁をされましたが、JRへの対応について、伺います。

まちづくり局長 答弁②
リニア中央新幹線についての御質問でございますが、
昨年10月に、調布市において発生した陥没等については、大深度地下を活用した東京外郭環状道路のトンネル工事が要因である可能性が高いことが、本年2月12日の有識者委員会で公表されたところでございます。
本市といたしましては、昨年12月に、十分な安全対策と地元への丁寧な説明を、直接JR東海に対し求めており、有識者委員会の結果を踏まえ、本年2月19日に、神奈川県及び相模原市と3者で連携し、JR東海に対して、安全対策の徹底と、沿線地域に対して工事内容の丁寧な説明を行うことなどについて、要請を行ったところでございます。

大庭 質問③
2月19日に要請を行ったとのことですが、その内容は、トンネル工事が陥没等の要因の可能性が高いとされているにもかかわらず、JRに対しては、事業を進める立場での要請でした。

そこで中原区域内のリニア工事についてです。

中原区等々力の非常口工事の計画が現在進められており、今後梶ヶ谷から新城を通り等々力立て坑に向けてシールド工事がはじまることになります。

リニアルートの図・1
リニアルートの図・2
リニアルートの図・3
リニアルートの図・4
リニアルートの図・5

・これは、中原区域のリニア新幹線のルートです。①右上の赤い印が等々力の立坑です。赤い四角は、富士通の建物になり、約2キロになります。
・立坑、ルート上には、②とどろきアリーナ、③409号線、ニケ領用水、④富士通、⑤中原電車区、新城地域を抜けて、高津に入ります。

そこで、13年前の2008年4月に、新城地域で大規模な陥没がありましたが、ここでは何度も陥没が起きています。

陥没の様子

・写真⑥ 陥没の様子です

当時のこの陥没事故の規模と原因。該等箇所の地形地質の状況について、上下水道事業管理者に伺います。

上下水道水事業管理者 答弁③
中原区内の道路陥没等についての御質問でございます中原区内における下水、道工事に伴う道路陥没等といたしましては、平成19年から平成22年にかけて、下新城地内において、シールド工法により江川1号雨水幹線を整備した際に、3回発生したところでございます。
陥没等の規模といたしましては、最も影響範囲が広かつた平成20年4月の道路陥没で、都市計画道路宮内新横浜線の地盤が最大2メートル沈下し、長さ40メートル、幅40メートルの範囲に影響が生じたものでございます。
なお、これらの道路陥没等の原因につきましては、シールド工事の掘削位置が、被圧された砂層であったことなどが、要因であるものと推定されております。

大庭 質問④

写真7
写真8

写真⑦⑧ 新城高校の脇、宮内新横浜線の道路が大きく陥没をして、高校のグランド、体育館もヒビが入りました。

川崎市の地質図

⑨川崎市の地質図です。水色が沖積層、緑色が泥質砂層、黄色が砂層で、この地域は、市内でも複雑に入り組んでいるのがわかります。この周辺が軟弱な地盤であることは、地域でも良く知られていることです。

次に等々力の立坑についてです。工事はどの段階にあるのか、工事の概要について、伺います。近くには、住宅地がありその真下を通ることになります。等々力周辺の、地形地質の状況について、伺います。
 
まちづくり局長 答弁④
等々力非常口についての御質問でございますが、
はじめに、工事概要につきましては、現在、立坑の掘削工事を進めており、令和5年度に完成予定であると、環境保全の計画に示されておりまして、建設発生土につきましては、環境影響評価書で約14万立方メートルであることが示されており、相模原及び横浜方面へ運搬されているとJR東海から伺っております。
次に、等々力周辺の地形につきましては、多摩川の氾濫原域であること、地質につきましては、砂・固結シルトの互層からなる上総層群が分布し、その上に、粘士・シルトからなる沖積層等で構成されていることが、リニア中央新幹線の大深度認可申請書の添付資料に示されております。

大庭 説明  
2月28日にJR東海がしめした工事進捗の状況の報告ですが、
⑩スケジュール非常口の掘削工が2月から7月ごろまで、8月から躯体構築工が行われます。

工事進捗状況の報告

⑪非常口の完成イメージ図 深さ90メートル、⑫類似工事の写真、⑬2月28日、等々力立坑(非常口掘削工)の様子です。

非常口の完成イメージ図
類似工事の写真
等々力立坑の様子

大庭 質問⑤
地形地質については、地盤工学の稲積教授が、地質を知らずに掘削すると問題がおきると警鐘をならしています。砂の層・砂層は粘土分が少なく流動化しやすいと言います。①シールドマシンによる掘削で周囲の砂層がかき乱される。②掘削の振動で砂のかみ合いがほどけて流動化し、シールドマシンが掘っていない場所からも砂が流れ込む、③地表に近い場所の砂層も振動でゆるみ、掘削の方向に引き込まれやすいと、指摘しています。    

地質図をみても砂層が入り組んでいるこの中原のリニアルート区域で、同様の陥没事故が、再び発生してしまうことは、十分考えられるのではないでしょうか。
中原区のルートも含めて、地形及び土質調査を徹底して実施すべきです。国が示す大深度地下利用の技術指針には調査についてどのように明記をしているのか、また、ボーリング調査の目安について、伺います。調布市の陥没事故がトンネル工事の要因の高いとされたことからも、指針に基づきボーリング調査は行われるべきと思いますが、見解を伺います。

まちづくり局長 答弁⑤
リニア中央新幹線についての御質問でございますが、
国士交通省の「大深度地下使用技術指針・同解説」によりますど、大深度地下に係る支持地盤の特定のために地盤調査を実施することが示されております。
その調査といたしまし,ては、地形・地質に関する既存資料の収集・整理を行い、それを踏まえ、一般的にはボーリング調査がなされること等が示されております。
また、ボーリング調査につきましては、既存資料においては、100mから200m程度の間隔で実施している例が多いことが記載されているとともに、土地利用が複雑化、高度化している大都市では、どこでも実施できるものではなく、ある程度の間隔で実施せざるを得ないこと、既存文献調査等に応じて、ボーリング調査間隔は適切に設定する必要があることなどが示されております。
同事業につきましては、大深度法の認可申請にあたり、JR東海がボーリング調査をはじめとする、安全性等に関する必要な調査を行い、国からその認可を受けたものでございます。
本市といたしましては、同社に対し、安全対策の徹底等の必要な対応を求めておりますので、引き続き、その対応状況を確認してまいります。

大庭 質問⑥
国の指針は、ボーリング調査は100メートルから200メートルの間隔で実施することが示されているとのことです。
川崎市内のリニア新幹線のルート周辺の住民らでつくる団体のみなさんが、3月2日に市と市議会に要請書が提出されました。ボーリング調査を実施し、ルート上の周囲の家屋調査行いデータの公開、②川崎市導水隧道管、水道・ガス等のライフラインについて詳細な調査をJR東海に申し入れるべきとの要請です。市民生活の安全からも、こうした要請にこたえるべきではないですか、伺います。

まちづくり局長 答弁⑥
リニア中央新幹線についての御質問でございますが、
本市では、本年2月のJR東海に対する要請書におきまして、外環道の陥没事故の調査結果を踏まえて、工事着手前には、十分な調査を行い、安全性を確認した上で、沿線地域に対して工事内容を丁寧に説明することを求めたところでございます。
JR東海からは、地盤の特性や施工方法など工事の安全陛に関し、有識者委員会で明らかにされた様々な情報などを基に、実施すべき対策について検討していくと伺っております。
また、トンネル掘削工事の開始前には、ルート沿線の工事に関わる住民の皆様を対象に、説明会を開催する予定と伺っております。
本市といたしましては、引き続き、要請内容に関するJR東海の対応状況を確認してまいります。

大庭 質問⑦
地形や地質について、調査をJR東海に実施させるべきです。そして、一連の調査の結果を関係する住民に公表し、住民に説明を行うまで、工事に着手すべきではありません。さらに、川崎市は(静岡県の動き)リニア新幹線工事の遅れによる東扇島の堀込部土地造成事業への影響は必至ではないですか。2018年のリニア発生土に協定を白紙に戻すべきです。

そこで、市長に伺います。
市長が参加するリニア中央新幹線建設促進神奈川県期成同盟会は、10月の調布市での道路の陥没事故が、外環道の大深度工事によるものが原因ではないかと、専門家の中からも懸念される中、12月にリニア新幹線事業促進・早期開業を図る要望活動を国や県内選出国会議員、JR東海に対して行い、要望書を提出しています。要望項目内容には、安全対策を求めている市民の願いを反映する項目は一つもありません。市民の安全をどう守るつもりなのか。市民の安全を抜きにしたリニア工事は促進する事業ではなく、事業の見直しを申し入れるべきです。伺います。

市長 答弁⑦
リニア中央新幹線についての御質問でございますが、
これまでも、環境への影響や安全確保について十分配慮するとともに、地域の皆様に丁寧な説明を行うよう、JR東海に対し求めてまいりました。本市といたしましては、今回の外環道の事象を踏まえ、トンネルエ事における更なる安全対策の徹底と、引き続き、地域の皆様に対する丁寧な説明を求め、今後の対応状況を確認してまいります。
 
大庭 意見要望です。
JRには、地域のみなさんにたいする丁寧な説明を求め、対応状況を確認していくとのことですが、まるで他人事ではないでしょうか。13年前に、シールド工事による大規模な陥没事故がここ川崎市内でも起きたことを踏まえ対応をはかるべきではないでしょうか。環境の影響や安全確保というのであれば、国の指針に基づき徹底したボーリング調査の実施を要請し、調査結果が出るまでは工事をすべきではないと、国やJRに求めていくことが自治体の長としての最低限の責任であることを指摘しておきます。

「中央新幹線轟非常口新設工事」の進捗状況報告書
(令和3年2月28日)

JR東海と工事会社作成の資料(PDF)
*クリックすると資料(PDF)を閲覧できます。