2022年 第3回川崎市議会定例会(6月議会)詳報・その1
第2回川崎市議会定例会(6月議会)/6月27日の本会議・一般質問で、おおば裕子議員が行った〈井田山の保全及び防災対策について〉の質問は、次の通りです。
(1)井田山の保全と防災対策について伺います。
大庭 質問①
井田山周辺に住む方から相談がありました。1件は、2021年昨年10月、台風による集中豪雨によって冠水被害を受けた方です。
場所は、井田病院への遊歩道の登り口付近で、中原区市民健康の森から井田山緑地を上ったところです。当時の道路冠水は、大人の足の膝上まで、50センチから70センチぐらいまで冠水し。もう少しで自宅に水が入ってくる状態だったとのことでした。上下水道局に調査を依頼しましたが、この周辺の状況とその対策について、上下水道事業管理者に伺います。
上下水道事業管理者 答弁①
井田2丁目の道路冠水についての御質問でございますが、
冠水があった住宅地は、高台となっている井田病院と市道井田20 号線に挟まれた谷戸に位置しており、地内の道路は住民管理の私道となっております。冠水が発生した箇所は、この私道の最も低い箇所でございまして、住宅地内に降った雨が私道を介して集まってくる構造となっており、何らかの原因で排水が
困難となっていることから、強い降雨があった際に冠水が発生したものと考えているところでございます。集まった雨水の排水先である排水設備の能力や状態などに問題がある場合、この住宅地と井田病院との間に位置する市道井田24号線に公共下水道としての雨水管を整備し、それに排水設備を接続していただくことで冠水の軽減が図られるものと考えております。
大庭 意見要望
地域の特徴として、谷戸に位置して雨水がたまりやすい。対策としては、排水設備を接続していくことで冠水の軽減が図れるという答弁でした。しかし、原因は不明なままです。排水設備を接続するには、私道であるため自己負担とで多額となります。原因調査も含め維持管理などについて費用がかからない丁寧な支援を求めておきます。
また、集中豪雨が多発するシーズンを迎え、緊急の措置が必要です。冠水被害道路公園センターで土嚢の提供がありますが、個人では運搬できないというお宅がありますので相談を受けていただくように要望をしておきます。
大庭 質問②
次に、井田病院敷地の東側、井田平台特別緑地保全地区の近くにお住まいの方から相談がありました。
その方は、「自宅のとなりの土地が、野ざらし状態になっている」というので、対応してほしいとの相談です。該当の土地は、井田病院の真下に位置し、「8年前に業者が購入して、宅地開発すると聞いた」「しかし、家を建てる様子もなく、現在、不法投棄らしきものも見られる」「雨が降ったあと、砂も流れてきている」「土砂が流れて家がつぶされることになったら心配」とのことでした。
当該地が未利用地になった経過と現状について、また対策をはかるべきと考えますが、まちづくり局長に伺います。
まちづくり局長 答弁②
井田病院敷地東側の未利用地についての御質問でございますが、
はじめに、経過と現状につきましては、平成28年(2016年)及び令和2年(2020年)に、土地所有者から宅地開発に関する事前相談を受けており、平成28年に、土地所有者により草刈りや樹木の伐採などの準備工事がされたことを確認しておりますが、これまでのところ、宅地造成等に関する許可申請に至っていない状況でございます。次に、対応につきましては、準備工事によって崖面が露出し、土が流れやすい状態であることから、これまで、土地所有者に対し、適正な土地の管理を求めてまいりました。今後につきましても、引き続き、土地の適正な管理の実施について、働きかけてまいります。
大庭 質問③
この方のお宅には、県から「土砂災害特別警戒区域の指定にかかるがけ地の現地調査やその結果の公表などの通知」などが郵送で送られています。しかし、この通知の意味がよくわからないとも話しています。県との連携などについて、伺います。
まちづくり局長 答弁③
土砂災害特別警戒区域についての御質問でございますが、
土砂災害特別警戒区域につきましては、県におきまして、崖崩れ災害から県民の生命を守るため、「土砂災害防止法」に基づき指定を行っているものでございます。 指定にあたりましては、県におきまして、斜面の地形や対策施設、土地利用の状況を把握するための基礎調査を行うとともに、関係する市民の皆様に調査のお知らせを配布していると伺っております。本市といたしましては、指定に向けた県との調整を行うとともに、指定後は土砂災害特別警戒区域等の位置や避難に関する情報などをわかりやすく示した土砂災害ハザードマップの作成と区域内の各戸への配布、市のホームページへの情報の掲載を行っております。今後につきましても、県と連携し、市民の皆様に必要な周知を図ってまいります。
大庭 質問④
土砂災害特別警戒区域の指定については、県が基礎調査を行い、本市は指定後、土砂災害ハザードマップを作成して区域内の各戸への配布、市のホームページに情報を掲載するというものです。災害の警戒区域に指定がされたことを知らせるだけで、住民の生命を守る具体的な対策については、連携がとれていないとことがわかりました。
事業者が、井田病院に対して土地の売却を求める相談があったと聞きましたが、病院局長に伺います。
病院局長 答弁④
土地の売却についての御質問でございますが、
令和元年(2019年)12月に、井田病院に隣接する土地について、事業者から、病院で何か土地利用の考えはないかなどの相談がありました。井田病院といたしましては、当該地について、土地利用の考えは特にありませんでしたので、利用は難しいとお答えいたしました。
大庭 質問⑤
この土地は、井田病院の敷地また井田平台特別緑地保全地区という公有地に隣接し、土砂災害特別警戒区域に指定されていることが公表がされています。つまり、危険な区域だということです。近年、集中豪雨が頻発し、地盤が緩んで土砂災害が起きれば、住民の命にかかわる事態です。住民の命と財産を守ることを最優先にすべきです。川崎市が土地を購入するなどして管理することはできないのか、まちづくり局長に伺います。
まちづくり局長 答弁⑤
土砂災害特別警戒区域内の 土地 の管理についての御質問でございますが 、
土砂災害特別警戒区域につきましては、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ、住民等の生命又は身体に著しい危害が生じるおそれがあると認められる区域でございまして、区域内の土地 所有者等が開発等を行う場合に、一定の開発行為の制限や建築物の構造規制等を課すことで、土砂災害から住民等の生命を守ることを目的としている制度でございます。こうしたことから、同区域内の当該 土地 につきましては、土地の所有者等が適切に管理を行うべきものと考えております。
大庭 意見要望です。
土地の所有者が管理を行うべきとのことです。この井田山の周辺地域でも災害を心配する声が多く寄せられています。土砂災害対策については緑地保全と一体で対策でこの地域の対策を図るべきと考えます。市が土地を所有することを含め、具体的な安全対策をすみやかに検討するよう要望しておきます。