2022年 第3回川崎市議会定例会(6月議会)詳報・その2
第2回川崎市議会定例会(6月議会)/6月27日の本会議・一般質問で、おおば裕子議員が行った〈ワンルームマンションの規制について〉の質問は、次の通りです。
(2)ワンルームマンションの規制について、 まちづくり局長に 伺います。
大庭 質問①
「川崎市ワンルーム形式集合住宅等建築指導要綱」は、1987年度から運用しています。要綱の目的は、建築紛争予防、円滑な相隣関係形成、良好な住環境保持等です。6度にわたり改正がされ、直近は、 2016年です。
改正以降に、ワンルームマンション要綱に基づく協議 対象の建設数は415件で住戸数は15,057戸です。 そのうち100戸以上は22件、2779戸です。
行政区ごとの100戸以上のマンションの件数と住戸数を伺います。
まちづくり局長 答弁①
ワンルームマンションについての御質問でございますが、
平成28年度から(令和3年度)の6か年において、「川崎市ワンルーム形式集合住宅等指導要綱」に基づき協議を実施した100戸以上の集合住宅の件数及び住戸数は、川崎区につきましては、9件、1,135戸。幸区につきましては、2件、204戸。 中原区につきましては、10 件、1,332戸。高津区につきましては、1件、108戸でございます。
大庭 質問②
100戸以上は4行政区です。 川崎区と中原区の2行政区が突出し、住戸数は1000戸を超えています。その理由について伺います。
まちづくり局長 答弁②
件数と住戸数に関する御質問でございますが、事業者が事業採算性等を勘案し、建設地を選定しているものと考えております。
大庭 質問③
事業者は、中原区と川崎区で採算性が高いとみて建設数が多くなっているということです。
2016年の要綱について、改正内容と改正にいたる課題について、伺います。
まちづくり局長 答弁③
要綱改正時の課題などの御質問でございますが、
はじめに、要綱改正の経緯 につきましては、適正な管理に必要な時間の確保や、地域コミュニティの希薄化への懸念、また、入居者のマナー等に関する近隣住民の方々の不安等の課題があり、平成28年に要綱を改正したどころでございます。
要綱改正の主な内容につきましては、最低住戸専用面積の引き上げや、住戸数に応じた管理体制の強化などでございます。
大庭 質問④
要綱改正した一つに、適正な管理に必要な時間の確保をあげています。内容では、住戸数に応じた管理体制の強化を加えました 。
要綱は、川崎市内のワンルームマンションの住戸数が100戸以上、管理人が「常駐することが原則」とされています。原則とした理由について伺います。管理人が常駐したマンションはあるのか、伺います。
まちづくり局長 答弁④
管理に関する規定についての御質問でございますが、
本要綱は、良好な住環境の確保と管理の明確化を目的としており、住戸数が100戸以上の管理の場合、「管理人を常時駐在させること」だけでなく、「管理人が日中常駐し、不在の時間帯についても同等の管理」が行えればよいものとしております。また、改正された要綱に基づき、完了届が提出された際に管理体制について確認をしておりますが、管理人を常駐させているワンルームマンションはございません。
大庭 質問⑤
これまで、100戸以上のワンルームマンションで、管理人が常駐したケースは、ないとのことです。
中原区井田三舞町に、分譲 5 階建て112戸の建設がはじまっています。昨年夏、ワンルームマンションが建設されると知った住民のみなさんは、事業者に対して、100名を超える署名を集め、「建物のセットバック」「階数の減築」「騒音」など要望書を提出し、説明会を行いました。しかし、協議を重ねても大半の要望は受け入れられず工事が進められています。安心して日常生活を送るために、せめて「 管理人を常駐させる管理会社を選定してほしい」と求めました。ところが建築主は、協議の場や問い合わせにも応じません。その代わりの仲介事業者が対応しますが「管理人の常駐」の回答を求めても、「管理会社が決まらないので、明確にできない」「近隣には迷惑をかけない」と、安心できる根拠を示さない発言を繰り返すだけです。住民は、事業者の誠意のない姿勢に不信感を募らせて、仲介事業者の介入の禁止を求めています。 要綱には、「建築主が説明」を行うとしています。住民と直接、 話し合う場をもつべきではないですか。伺います。
まちづくり局長 答弁 ⑤
近隣住民の方々への説明についての御質問でございますが、
要綱における建築主の説明義務につきましては、「川崎市建築行為及び開発行為に関する総合調整条例」に基づき、事業者などが説明をした場合、要綱上の建築主の説明に代えられることとしております。井田三舞町のワンルームマンションの建築にあたりましては、同条例に基づく説明会を開催しており、その内容について、事業者から報告を受けております。これまでも近隣住民の方々からの御要望については、事業者などを通じ、建築主にお伝えしているところでございますが、今後も引き続き、丁寧な対応に努めてまいります。
大庭 質問⑥
事業者が説明をすれば、建設主が説明しなくてもいいという答弁でしたが、それでは、住民は納得でき ないことを指摘しておきます。
「管理人を常駐」させることについてです。
要綱の改定では「管理人を常駐」することを原則としました。本市は、その主旨に則って、 建築主に直接対応させ、改善を求めるべきです。伺います。
まちづくり局長 答弁 ⑥
管理人についての御質問でございますが、
管理人を常駐させることが目的ではなく、管理人が日中常駐し、不在の時間帯についても同等の管理が行えればよいもの としておりますが、近隣住民の方々からの御要望があれば、その旨を建築主にお伝えしてまいります。
大庭 質問⑦
建築主に対して、伝えることとあわせて、協議の場をもって回答させることを求めておきます。
東京23区では 、ワンルームマンション建設の急増を受け、すべての区で条例または要綱による規制がされています。本市も2016年に課題を把握して、改定をしたのですから、実効性ある対応を行い、また実態に即して、規制を強化すべきです。豊島区では、一定戸数以上の狭小な住戸を有する集合住宅を建築しようとする建築主に1戸につき50万円の税金を課して規制をするものです。また、東京23区では、21区で総住戸数に対して、一定の割合のフ ァ ミリー形式住戸を求めることを定め た条例・要綱等を策定し制限をかけています。
井田三舞町のみなさんも、単身者用だけでなくファミリ―形式も取り入れたマンション建設を要望していました。 要綱の改正を求めています。
マナーや管理に対する近隣住民の不安は、共通した内容が繰り返し出されるケースが多いのですから、ファミリー形式住戸を取り入れるなど、東京23区の事例を参考に本市独自に条例・要綱等の改正をして、規制すべきです。伺います。
まちづくり局長 答弁⑦
条例化等についての御質問でございますが、
本要綱にファミリー住戸の設置を義務付けることや、条例化につきましては、土地所有者の等の私権の制限につながることなどから、地権者等の意向、より慎重な検討が必要と考えているところでございます。
大庭 意見要望です。
事業者は、建物を建てれば完了です。しかし、住民はその地域で住み続けます。住民と事業者を同列視はできません。ワンルームマンションの規制に実効性をもたせ、周辺住民に対して配慮のある条例・要綱等の見直しを要望しておきます。