2022年 第3回川崎市議会定例会(6月議会)詳報・その3
第2回川崎市議会定例会(6月議会)/6月27日の本会議・一般質問で、おおば裕子議員が行った〈市立高校のGIGAスクール構想について〉の質問は、次の通りです。
(3)市立高校の GIGA スクール構想について教育次長に伺います。
大庭 質問①
2022年この4月から川崎市立高校全日制の新1年生は、一人1台の学習用端末を保護者負担で購入し活用しています。
一方、全日制2・3年生、定時制、特別支援学校高等部については、小学校で導入していた学習用端末を移設し、貸し出して活用しています。このような形式をとった理由について、伺います。
教育次長 答弁①
高等学校での学習用端末についての御質問でございますが、
全日制の2・3年生につきましては、今年度から端末を購入した場合、端末の活用期間が短くなるため、負担感が大きく、在学期間中は、既存の端末を貸し出すこととしたものでございます。また、定時制課程等におきましては、多様な生
徒の実態を総合的に踏まえ、既存の端末を貸し出すこととしたものでございます。
大庭 質問②
新1年生でも、学校によって学習用端末の購入方式が違います。川崎総合科学高等学校の場合は、既に保有している機器があればそれを使用し、持っていない生徒は購入方法を紹介し、端末を学校に持ち込むというBYOD方式です。その他4校は、学校が指定する条件に合った端末を各家庭で購入するBYAD方式です。端末1台の自己負担額について、伺います。
専門家は、端末管理の蔓延、ネットワークへの不正侵入、端末のOS期限切れなど、セキュリティ上、重大なリスクがあるとしています。また、保管場所、充電場所、校内のルール、教員側のノウハウなどの問題を指摘しています。
こうした課題は検討したのか、また購入方式を違えた理由について伺います。
教育次長 答弁 ②
学習用端末についての御質問でございますが、
各学校が学習用端末として、保護者に案内している購入方法におきましては、端末本体、アプリケーション代、3年間の保守メンテナンス代を含め、合計約5万円から約11万円となっております。学校や学科によって、使用する基本ソフトウェアやアプリケーションソフトウェア等が異なり、金額に差が生じたものでございます。 購入方法が学校によって異なった理由につきましては、生徒のパソコンの保有状況に応じて、各学校が最適な方法を判断したものでございます。また、情報セキュリティリスクにつきましては、ウィルス対策ソフトやネットワークの不正接続防止装置を導入するなど、的確な対策を行っているところでございます。
大庭 質問③
いずれの方式も端末費用は5万円から約11万円の自己負担となります。
コロナ禍において収入減の世帯が多くなり保護者の負担は厳しいものです。全員が端末を購入することができなかった場合の対応について、現在、購入できていない生徒はいないのか、伺います。
端末の購入を求められた保護者からは「公費だと思っていた」「学校の指定なのに高額のものを全額自己負担とはひどい」などの悲鳴が上がっています。
こうした声があがっていることを学校は把握しているのか。伺います。
教育次長 答弁 ③
学習用端末についての御質問でございますが、
端末が用意できない生徒がいた場合、貸出用端末をー定期間貸与することとしておりましたが、学校に確認したところ、今年度、端末の購入ができなかった生徒はおりませんでした。 今後も、保護者に対しましては、学習用端末の意義等について、学校説明会等を通じて丁寧に説明してまいります。
大庭 質問④
高校入学時の負担は、学校によって違いがあるものの、制服、体操着、指定鞄、シューズに加え、設備関連費、 PTA、部活動、それに一人1台の端末が加わると学校に違いはあるものの20万から30万円。通学用の定期券や端末購入費用のほかに通信環境整備費などが「保護者にさらに大きな負担」を負わせるものです。
公立高校の端末の公費負担は、山形県など20以上の府県で進んできています。川崎市の場合は、全日制の新1年生約1200人で年間約8930万円で実施できるのですから、今年度から地方創生臨時交付金などを活用するなどして、一人1台の端末の購入は全額公費負担として、生徒に貸し出しして整備をすることを検討すべきです。伺います。
教育次長 質問 ④
学習用端末についての御質問でございますが、
地方創生臨時交付金につきましては、国から令和5年 度以降の方針が示されておらず、また、既に複数の高等学校において、保護者に端末を購入 していただいているため、継続性や公平性の観点から、その活用は難しいものと考えております。また、現在、保護者負担としている高等学校の学習用端末を公費負担とすることは、現段階では 考えておりません。
大庭 意見要望です。
現段階で考えてない。今年度は、購入できなかった生徒はいなかったとのことですが、分割で支払いするなど、生活の苦しさがうかがえます。用意できなかった場合の生徒には、一定期間貸与とする考えもあったとのことでした。仮に、借りた端末を使用している生徒がクラスで一人だったとすれば、その生徒はどんな思いをもつのか考えるべきです。公平性をいうのであれば、保護者負担ではなく公費負担で実施 するとともに、少なくとも低所得世帯への端末購入の補助は実施するよう 求めておきます。