おおば裕子
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川崎市ろう者協会の理事長さん・事務局長さんと懇談をしました。(10月27日)

  PA270050川崎市ろう者協会の吉野隆男理事長、尾上秀夫事務局長、そしてお二人の手話通訳者の方においでいただいて、健康福祉委員会委員の石田議員と私が懇談させていただきました。政党との懇談は初めてということもあり、尾上さんから「今回の懇談の内容としては、8月に健康福祉局障害福祉課に提出した予算要望の内容を説明するということではなく、聴覚障害者・手話通訳者の現状を知ってもらい理解を深めてほしい」と前段にお話がありました。

最初に川崎市聴覚障害者情報センターについて、お話があり、川崎市では、聴覚障害者の施設は、このセンター1ヵ所のみで、知らない方も多いとのことです。ここで手話通訳者、要約筆記者の派遣をおこない、相談員が配置されています。相談員2名、難聴者1名計3名が携わっています。「高齢者などの施設は、地域のエリアが限られていますが、私たちは川崎市全域を対象にしているため行動範囲が広く、他の障害者と条件が違うことを知ってもらいたい」とのことでした。

手話通訳者や要約筆記者をどう育てていくか、川崎市ろう者協会が担っている現状が大きくあるとのこと。「手話通訳奉仕員入門の2課程を経て手話通訳養成事業3課程を経て手話通訳者となります。奉仕員の目的は、地域の中でコミュニティの場を増やして、聴覚障害者と一緒に仲間を増やす活動をしていくことが目的です。奉仕員入門は、手話通訳を増やすことではありませんが、全課程を修了した後には、「手話サークルに入ってもらい、そして要請講座を受けて聴覚障害者に寄り添う活動をしてもらいたい」と話します。聴覚障害者の中には、手話を理解している方、していない方、またそれだけではない様々な方がおられます。手話は言語変換という一般的な見方がされていますが、手話通訳者は相手によっては、福祉労働者としての役割が大きい。対人援助技術を持ち合わせて勉強が必要です。よって講習会だけでは、不十分です。地域の中で手話がわかり、聴覚障害者のことを理解してもらうために育てていかなければなりません。手話通訳者をめざすうえで、全国統一試験があり合格しないとなることはできません。少なくとも5年ぐらいかかります。それだけ時間がかかる専門性を持った分野」です。

「しかし、川崎市の現状はというと、手話通訳の派遣数は増えているのに、登録されている手話通訳者は増えておらず高齢化がすすみ、このままでは心配な状況です。平成21年度、登録手話通訳者は、53名でその内50歳以上が27名(60歳以上7名含む)と半数が50歳以上ということです。手話通訳者を増やさないと派遣できなくなる可能性が出てきています。 手話奉仕員要請入門課程は、市町村自治体(人口5万人から10万人の規模)2か所で実施していますが、川崎市は人口140万人をかかえている都市として、14カ所で実施してもいいのではないでしょうか。せめて各区7カ所で実施ができるようにお願いしたい」とのことでした。

  センターの職員については、「新しい聴覚障害者に対して、総合的な知識や経験と専門性が必要で、様々なケースを把握して対応が求められます。センターには、派遣コーディネーター常勤が2名、非常勤4名が(1週間に3日間)が配置をされていますが、派遣の要請が多くなれば登録手話通訳者に頼らなければならない」とのことです。

指定管理者制度については、「現在、社会福祉協議会が行っていますが、事業のバックアップ、手話サークルなど、ろう者協会が担っています。ろう者協会では、5年間の指定管理者制度というのは予算が大きくかかわることになるので、運営・管理は指定管理でも他の事業については、今までの様委託にして1年単位で予算として組んだ事業のお金が余れば返金する、そして不足すれば補てんをしていくということが望ましいと考えています。滋賀県のある自治体で、学童保育事業に指定管理と委託を組み合わせているところがあるので参考にしてほしい」とのことでした。

質疑の中では、指定管理制度のことについての私たち共産党市議団の考え方や議会の中での対応について報告をしながら交流し、今後の懇談の在り方についても「年に2回は懇談することがきれれば」ということで「ぜひ具体化していきましょう」と、充実した懇談会になり,勉強になりました。