9月議会・決算審査特別委員会・総務分科会質問(4)公契約制度 について(9月28日)
大庭 質問①
2011年4月から川崎市の公契約制度は施行され6年目を迎えました。
2016年4月には、公契約条例の一部が改正され、入札・契約制度の見直しがありました。新ためて、見直しの主な内容点について伺います。
契約課長 答弁 ①
契約条例の一部改正についての御質問でございますが、
平成23年度の公契約制度導入当初は、生活保護基準が神奈川県の地域別最低賃金を上回る、いわゆる逆転現象が生じていたため、特定業務委託契約の作業報酬下限額を定めるにあたり勘案する額について、生活保護基準としていたところでございますが、平成27年10月の神奈川県の地域別最低賃金が生活保護基準を上回り、逆転現象が解消されたことから、勘案する額について、神奈川県の地域別最低賃金に改めたものでございます。
また、特定業務委託の対象業種である給食調理業務につきましては、本市で受注実績がある事業者に対しヒアリング等を実施し、その調査結果を踏まえ、平成28年度以降の契約案件から対象案件に追加する規則改正を行い、制度の拡充を図ったところです。
大庭 質問②
2015年10月の神奈川県の地域別最低賃金が生活保護基準を上回り、逆転現象が解消されたことから、勘案する額について賃金を改めたということ。給食調理業務を特定業務委託の対象業種に追加し規則改正を図ったというものです。
特定業務委託契約についてですが、公的契約の対象となる契約は、予定価格1000万円以上の6業種(警備、建物清掃等、屋外清掃、施設維持管理、電算関連業務、給食調理業務)になります。これ以外の業種にはどういうものがあるのか、伺います。
事前の調査の中で、6業種を公契約の対象としている理由について確認したところ、「人件費比率が高く、比較的専門的な知識や資格等を必要とせず、代替性が高いため、(つまり、代わりとなる人の数が多いため)、賃金が低くなることが危惧されるから」ということでした。対象外の業種は賃金が低くならないということなのでしょうか。すべての業種が対象となると考えますが、業種の拡大について見解を伺います。
契約課長 答弁②
公契約制度の対象としない業務委託の業種についての御質問でございますが、
公契約制度対象以外の業務委託の業種につきましては、建築・設備設計業務、建設コンサルタント業務、地質調査業務、測量業務、補償コンサルタント業務、調査q則定業務、医療関連業務、不動産鑑定業務、廃棄物関連業務、倉庫・運送業務、クリーニング業務、旅行業務、保険業務、イベント等のその他業務がございます。
これらの業種につきましては、1,000万円以上の契約案件がないものや、専門的知識や資格が必要で、専門性が高く平均時給が最低賃金を大きく上回っているなど
の理由により、公契約制度の対象としておりません。公契約制度対象以外の業種につきましては、今後も民間における賃金支払の動向などについて、注視してまいりたいと考えております。
大庭 質問③
公契約制度対象以外の業務委託の業種については、「専門的知識や資格が必要で専門性が高く、平均時給が最低賃金を大きく上回っているので、公契約の対象にしていない」というお答えでしたが、これらすべての業種の最低賃金が上回っているという調査をしているわけではありません。今後、賃金支払いの動向などについて、注視していくとのことなので、しっかり調べていただくことを要望しておきます。
川崎市作業報酬審議会の審議経過についてですが、川崎市は非公開となっています。多摩市では、公開しています。川崎市でも、公開すべきと思いますが、見解を伺います。
契約課長 ③
作業報酬審議会の公開についての御質問でございますが、
本市「審議会等の会議の公開に関する条例」第3条の規定により、作業報酬審議会は原則として公開となります。しかしながら、作業報酬下限額など審議する事項によりましては、会議を公開することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると考えることから、同条例第5条第3項の規定により、非公開にしているものでございます。
大庭 質問④
意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるから非公開にしているという答弁でしたが、納得できるものではないということは指摘しておきます。
特定業務委託契約の作業報酬下限額についてですが、昨年10月の神奈川地域別最低賃金の改定により、当該作業報酬下限額を定めるにあたって勘案する額を生活保護基準から最低賃金への変更するために契約条例の一部改正する条例が、2016年の3月議会で可決され、さらに、2016年この10月から、最低賃金の改定が昨年に引き続き行われ予定で、905円から930円になります。今後の市の対応について伺います。
官製ワーキングプアを解消することを前提とする制度の趣旨から考えて、速やかに時給1000円以上に引き上げ、さらに、1500円を目標に引き上げることこそふさわしいと考えます。制度上は、作業報酬審議会の意見を聞くことになってはいますが、最終的な判断は、市長が行うことになっていますから、市長の判断で引き上げることは可能と考えますが、見解を伺います。
契約課長 答弁④
最低賃金の改定に伴う対応についての御質問でございますが、
神奈川県地域別最低賃金につきましては、平成28年10月の改定により、 930円となる予定ですが、本市で定めた平成28年度の特定業務委託契約の作業報酬下限額は928円であることから、 10月以降、本市作業報酬1下限額が同最低賃金を下回る予定でございます。このことから、平成28年10月1日以降に公告や指名通知等の手続を行う案件については、新たに935円の作業報酬下限額を決定したところです。また、平成28年9月30日までに契約を締結し、若しくは、公告や指名通知等の手続を行った平成28年度特定業務委託契約案件の、 10月1日以降の作業報酬下限額について、神奈川県地域別最低賃金と同額の930円で決定したところでございます。
なお、平成29年度の特定業務委託契約における作業報酬下限額については、最低賃金の上昇傾向を踏まえ964円で決定しております。今後につきましても、神奈川県地域別最低賃金などの動向を見据え、学識経験者、事業者、労働者で構成される作業報酬審議会の調査・審議内容を踏まえ、適切な作業報酬下限額の決定をしていきたいと存じます。
大庭 質問⑤
公契約条例では、作業報酬が実質賃金より低い場合は、市長また受注者に対して申し出ができることとしていますが、予定価格の6億円以上の特定工事請負契約については、公契約制度対象工事とそうでない工事に従事する労働者にとって、公契約制度に基づく事業で、作業報酬下限額がいくらなのかをいちいち把握できないという声もあり、また、使用者に気兼ねして申し立てしないケースがあります。改善が必要と思いますが、伺います。
契約課長 答弁⑤
契約制度の周知についての御質問でございますが、
公契約制度を実施する上で、制度内容を対象労働者に周知することは、大変重要なものと認識しております。特定工事請負契約につきましては、契約時に受注事業者に制度内容を説明し、対象の工事現場事務所など労働者が目にすることができる場所に、本市が作成した公契約対象現場であることを示すポスターや、制度内容・作業報酬下限額などを示した労働者配布用のチラシを掲示、又は、配布することを義務付けております。これまで受注者から提出された作業帳酬台帳の確認においても、条例違反はないものと認識しておりますが、現在、履行中の工事契約案件の受注者、労働者を対象として実施しておりますアンケート結果を踏まえ、より効果的な周知を図ってまいりたいと芳えております。
大庭 質問⑥
何よりも、6億円以上の工事案件、1000万円以上の特定業務委託契約に限定せず、対象を広げるべきです。対象を拡大することで作業量が膨大になり、対応できないということになれば、川崎市の業務を担う人たちが、官製ワーキングプアのまま放置され続けることになり、公契約制度の趣旨に反することになると考えますが、見解を伺います。
契約課長 答弁⑥
公契約制度の対象範囲の拡大についての御質問でございますが、
作業報酬下限額を定め、本市公共事業に従事する労働者の賃金を下支えし、労働環境を整備することは、大変重要なことと認識しております。契約の履行にあたり、携わる労働者が多い案件を条例の対象とすることで、実効性を確保するとともに公契約制度の効果を高めることとしております。今後につきましては、先ほどのアンケートの結果や学識経験者、事業者、労働者で構成する作業報酬審議会の調査・審議内容を踏まえながら、効果的な制度の運営に努めてまいります。
大庭 意見要望
先ほどの答弁で、「現在、履行中の工事契約案件の受注者、労働者を対象」にアンケートを実施」していて、その結果をみて、周知の在り方、また、作業報酬審議会の審査内容を踏まえながら、効果的な制度の運営に努めるとのことでした。
官製ワーキングプアが社会問題化し、「これだけの賃金では、暮らしていけない」という声があふれています。行政が、労働者の暮らしを成り立たせ、文化的な生活がおくれるよう、最低賃金下限額の賃金体系を確立していくことは当然です。(官製ワーキングプアの改善なしに)民間などの賃金がひきあがっていく保障はありあません。アンケート調査の結果を注視していきたいと思いますが、官製ワーキングプアを解消できるよう、速やかに時給1000円以上に引き上げるとともに、さらに1500円を目標にしていくことを要望して、私の質問を終わります。