3月議会・予算審査特別委員会(3)雇用の安定と若者の就労支援について(3月6日)
(3)雇用の安定をはかる施策について、経済労働局長に伺います。
はじめに、正規雇用労働者を拡大していく施策についてです。
私たちは、国が推進するキャリアアップ助成金について、議会で繰り返し取り上げてきました。
神奈川労働局では、「正社員転換・待遇改善実現プラン」の中で、正社員就職・正社員転換等で不本意非正規労働者から正規での転換のキャリアアップ助成金の活用をそれぞれの地域での促進を図るとし、2016年から2020年の5年間で7000人の目標を掲げています。神奈川労働局と情報共有をしていると思いますが、これまでの県内の実績数、そのうち川崎市内ではどれだけの人が助成金を活用したのか、伺います。
経済労働局長 答弁①
キャリアアップ助成金についての御質問でございますが、
神奈川労働局では、平成28年度(2016年度)の「キャリアアップ助成金を活用して有期契約から正規雇用等に転換した労働者の数」の県内実績を 1,598人としておりますが、市町村ごとの活用状況につきましては、公表しておりません。
本市といたしましては、当該助成金を市内事業者が活用できるよう、ホームページや「川崎市労働情報」等を通じて、広く情報発信に努めているところでございます。
大庭 質問②
キャリアアップ事業の川崎の実績は、公表していないということだったので、直接、県の労働局に問い合わせをしました。平成28年度(2016年度)がおおよそ250人、平成29年度(2017年度)9月時点で同数の250人ほどになり、周知をすることで拡大していけるというお話しを聞きました。
川崎市でも推進するためには、現状を把握することが必要です。県労働局と連携して、施策に生かすべきことを指摘しておきます。
東京都は、社内で非正規雇用者を正社員に転換した企業に対して、国と都が連携し最大100万円支援する正規雇用転換促進助成金制度が好評であるとこの間、紹介してきました。東京都は、正規雇用を拡大させるために、2015年度から2017年度までの3年間で15000人の目標を掲げてきましたが、2年間で達成し、2017年度も1万人の申請があり、年度内には超過達成する見込みです。こうした施策が、正規雇用の拡大につながり、市内の中小企業にとって人材確保をするうえで有効であることは明らかです。市でも、非正規から正規雇用に転換していけるよう、労働局と連携をとって国の事業を活用して、東京都のように上乗せ支給する事業の実施に踏む出すべきではないでしょうか。伺います。
経済労働局長 答弁②
国助成金への上乗せ支給についての御質問でございますが、
有効求人倍率が1倍を超える高い水準で推移するなど、昨今の雇用情勢から、市内企業の人手不足感や正規雇用を中心とした求人意欲は更に高まっており、正規雇用求人は着実に拡大しているところでございます。
こうした状況を踏まえ、本市といたしましては、「キャリアサポートかわさき」をはじめとするきめ細やかな就業支援を総合的に実施し、効果的な就業マッチングを図ってまいりたいと存じます。
さらに、人手不足に悩む市内の中小企業や経済団体等と一体となり、求職者等に対し、企業の魅力や実情を理解していただく就職イベントを開催することなどにより、中小企業の人材確保や正規雇用の拡大につなげてまいりたいと考えております。
大庭 質問③
就業マッチング事業で効果を図るということがいつも繰り返される答弁です。これだけの事業では、人材不足になっている職場に正規雇用を拡大していくことはできないことを指摘しておきます。これについては、また取り上げていきたいと思います。
続いて、若者が安心して働き続けられる雇用施策についてです。
まず、奨学金の返済を抱える若者の支援策です。
私たちが取り組んだ市民アンケートに20代の青年が切実な思いを寄せてくれました。「奨学金の返済地獄で生活の見通しが立たず、まともに貯蓄もできず、結婚や生活の見通しが立たず、ただ仕事をして生きているだけの現状がつらい」「他の事はどうでもよく感じことがある」というものです。奨学金の返済で苦しむ若い人たちが、市内に住んでいるということについて、率直に経済労働局長は、どう思われますか。伺います。
経済労働局長 答弁③
若者の雇用施策についての御質問でございますが、
若者が安心して働き続けられる環境の整備は、大変重要であると考えておりまして、働く若者の生活支援など、勤労者の福祉の増進に向け、勤労者福祉共済事業等を実施しているところでございます。
また、県内の労働団体等で構成される「かながわライフサポートセンター」が、勤労者の様々な生活相談に対応しておりますので、こうしたサービスも含め、本市の様々な支援メニューの広報に努めるなど、若者が安心して働き続けられる環境の整備に取り組んでまいりたいと存じます。
大庭 質問④
この青年は、地方の大学を卒業して、市内のIT企業の子会社に正規雇用で就職しましたが、平日は残業の毎日。奨学金が重くのしかかり、気持ちの余裕がないとのことでした。先ほど、勤労者福祉共済事業などの支援メニューを紹介していだたきましたが、この青年が活用できるものはあてはまりません。
そこで今、奨学金返済制度に取り組む自治体が増えてきています。神戸市では、昨年2017年11月から制度を開始しました。募集対象者は、日本学生支援機構第一種奨学金の貸与を受けている方または受けていた方、支援金額は、奨学金の返還残額の2分の1、支援額の上限150万円、支援方法は、指定業種の企業で3年以上勤務、神戸市内3年以上定住の条件を満たした後に、一括して支援金額を支払うというものです。
指定業種については、先ほど紹介した青年のIT企業がふくまれ、また川崎市でも、人材確保が求められる医療・健康・福祉の分野なども対象です。多額な奨学金をかかえ苦しむ青年は市内に大勢います。青年が専門職として働き続けられ、また事業者にとっても人材確保となる、神戸市の制度についても検討すべきではないでしょうか。伺います。
経済労働局長 答弁④
若者の雇用施策についての御質問でございますが、
若者の就職進路の選択には、「仕事の内容」、「勤務地」、「労働時間」など、給料等の経済的なインセンティブだけでなく、様々な要素が判断材料になるものと考えております。
こうしたことから、若者の就業支援にあたっては、求職者・キャリアカウンセラー・求人開拓員による三者面談を通じて求職者のニーズに応じた職業紹介等を行う「キャリアサポートかわさき」におけるきめ細やかな就業支援や、様々な企業との出会いの場となる合同企業説明会等を総合的に実施し、企業の魅力や実情等を理解してぃただきながら、雇用のミスマッチの解消を進め、効果的な就業マッチングに努めているところでございます。
今後につきましても、求職者の希望や実清に応じたきめ細やかな就業支援を実施することにより、中小企業の人材確保や若者の正社員採用など安定した就業につなげてまいりたいと考えております。
大庭 質問⑤
正規雇用の拡大や雇用対策について伺うたびに「キャリアサポートかわさき」と合同企業説明会での就業マッチングの支援事業をすすめているというお答えになります。対策としてこれで本当に大丈夫ですかと、疑問を抱かざるをえません。神戸市の制度についてもぜひ研究して検討をしていただきたいと、これは要望しておきます。
続いて、市内高校生の働くルール・権利を学ぶ機会について、教育次長に伺います。若者が初めて社会に踏み出して働いたところがブラック企業だったいう人は少なくありません。働くルールについて一定の知識があれば、その職場で働き続けられることも多いはずです。昨年3月議会で、教育次長は「高校生が雇用のあり方や労働問題について理解を深めることは大切であると認識している」とお答えになっています。市立高校で、労働局が実施する働く権利やルールを学ぶ「出前講座」について、2017年度は川崎高校、幸高校の全日制、橘高校、高津高校の定時制での計4校で実施をして少しずつ広がっているものの、全校では実施はされていません。以前、実施していた高校でも現在は行っていない学校もあります。働く権利を学ぶ「出前講座」を実施するうえでの課題について、伺います。
教育次長 答弁⑤
出前講座の課題についてのご質問でございますが、
現在、市立高等学校の公民科の授業におきましては、労働者の権利、雇用や労働の問題等、現代の社会について、経済労働局など関係機関作成のリーフレット等を活用し、主体的に考察し、理解を深める学習に取り組んでいるところでございます。
出前講座を実施する際の課題といたしましては、生徒の興味関心を高めるために、生徒の状況に即した内容で学習活動を行うことが大切であると考えております。
高校生が雇用に関する仕組みや条件について理解を深めることは、大切であると認識しておりますので、引き続き、生徒の状況なども踏まえながら取り組みを進めてまいります。
大庭 質問⑥
ブラックバイト対策としては、2017年経済労働局が働くためのリーフレット5000部を作成し、教育委員会が市立高校などに生徒に配布をしました。幅広く市内高校生などに啓発できるように、繰り返し周知していく必要があります。新年度の取り組みついて伺います。
昨年、経済労働局長は「定時制、全日制の別なく、より多くの生徒に労働者の権利に関する啓発活動を行うことは重要」と答弁されていました。ブラックバイト・ブラック企業については、若者だけでなく全市民的に注意喚起を促す取り組みが必要と思います。ポスターなど作成して、街角に掲示していくことが検討できないか、伺います。
経済労働局長 答弁⑥
高校生等に向けた啓発についての御質問でございます
新年度の取組におきましても、アルバイトなど働く機会に接する前に、高校生等に対し、労働に関するルールについて啓発を進めることは、大変重要であると考えておりますので、引き続き、「働くためのガイドブック」や「はたらくためのり一フレット」を作成し、市内の高校に配布するなど、継続的に周知・啓発に取り組んでまいります。
次に、市民への注意喚起につきましては、高校生等に向けた啓発に関するり一フレット等を、区役所や図書館など市内全域の公共施設で配架するなど、幅広い啓発活動に取り組んでまいりたいと存じます。
大庭 意見要望
「出前講座」についてですが、労働法規などは、専門用語なども多く、社会に踏み出していない生徒にとってイメージが付きにくい内容もあるかもしれません。高校生に十分理解できるように工夫して、航氏となるカットも、良く連携をはかって、全校で実施できるよう要望しておきます。
「働くためのリーフレット」は、新年度も作成するとのことです。ぜひ新しい情報もいれて、更新しながらわかりやすいものしていただきたいと思います。
若い人達の中で、過労死や過労自殺の報道があとをたちません。過労による病などは、私たちの身近なところに存在しています。過労死や過労自殺などを生むブラックな働かせ方は、違法であり犯罪であるいうことを、若い段階から学ぶ場を作っていくとともに、ポスターなどで啓発して、社会全体に広がっていけるような対策をお願いしたいと要望いたします。