12月議会・一般質問(3)生活保護のしおりの改善について)(12月19日)
(3)生活保護のしおりの改善について、健康福祉局長に伺います。
川崎市の保護世帯数と保護率についてです。2012年から2107年までの2017年間で世帯数は約4万世帯増加しましたが、2017年度に保護を利用した世帯は、2万4182世帯で5年前から4 5世帯増えただけとなっています。保護率は2.08%で0.18ポイント減りました。人口はけた違いに増えているのに、保護を利用する方がほとんど5年前と変わらないということになります。見解を伺います。
川崎市の捕捉率については、どのように把握されているのか、伺います。
健康福祉局長 答弁①
生活保護の動向についての御質問でございますが、生活保護世帯数につきましては、ここ5年間で見ますと、大きな変化はないものの、世帯類型別には、失業などで収入が減少したその他世帯などは減っている一方、主に65歳以上の者のみで構成されている高齢者世帯は増えている傾向にあります。
本市においては、生産年齢人口の転入による人口増加が続いており、人口に占める被保護人員の割合である保護率につきましては、減少しているものと捉えております。
また、生活保護制度におきましては、申請がなされなければ、保有する資産や親族からの扶養の可否などの調査等ができず、受給要件を満たすかどうかがわからないため、いわゆる捕捉率を把握することは、困難であると考えております。
大庭 質問②
生産年齢人口の転入による増加が続いているために保護率は減少しているということですが、高齢者世帯の生活保護利用者は、増えています。
本来利用できる権利があるのに、利用されていない世帯はかなり存在しているのではないでしょうか。そうした世帯を見逃すことなく、捕捉率を独自でも調査すべきことを求めておきます。そして、生活保護のしおりについてです。
昨年、小田原市の生活保護担当部署の職員が「保護なめんなよ」などと書かれたジャンバーを着て、保護利用世帯を訪問し、人権を無視した問題として大きく報道されました。小田原市は、この事件を契機に、生活保護行政の見直しがされ、その一つが生活保護のしおりでした。
昨年12月議会で、内容の充実をもとめて改善を要望しました。憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活」の文言がないことをはじめ様々指摘をし、2018年度4月から指摘をした箇所については、改善をしていただきました。しかし、まだ十分とは言えません。
例えば、よく受ける相談として、「車を手放したら仕事ができないという方」がいます。川崎市や小田原市のしおりにも、生活保護を利用するためには、不動産や自動車などは認められないと明記をされていますが、しかし、小田原市のしおりには、あとがきにこう書かれています。「ただし、居住用の不動産は原則として保有はみとめられますし、個別の事情によっては、自動車やオートバイの保有が認められる場合もありますので、ご相談ください」と。実に、丁寧で不安な気持ちを取り除いてくれています。この一行書いてあるだけで、相談してみようという気持ちになるのではないでしょうか。残念ですが、川崎市のしおりにはありません。
また、川崎市のしおりには、病気になったときの項目の最後に、太字で*薬は原則ジェネリック医薬品(後発医薬品)を使用してください。と明記されていますが、小田原市のしおりには、書かれていません。こうした内容は、面談の時に詳しく説明をすればいいことで、ことさら強調しなくてもいいことだと、読み比べて、相手の気持ちに寄り添った内容かどうか一目瞭然です。再度、未見直し、改善すべきではないでしょうか伺います。
健康福祉局長 答弁②
生活保護のしおりについての御質問でございますが、現在のしおりは、保護の申請・決定、資産の活用、権利と義務など制度全般を総合的に記載したものでございますので、より詳細な事項につきましては、実際の保護の相談において、専門の面接相談員が相談者の状況を把握した上で、活用可能な他法他施策について助言するとともに、生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、懇切丁寧な対応を行っているところでございます。
しかしながら、生活保護制度を市民の方に的確に伝えるためには、しおりの内容が理解しやすいものであることが必要と考えておりますので、引き続き、記載内容や表現について検討を行ってまいります。
大庭 質問③
保護のしおりについては、指摘した細かい部分などを、その都度、修正・改善するということではなく、しおり全体の表現を含めて、生活保護の事について、安心して相談できるんだと、感じられる内容に見直していただけたらと思います。しおりの内容については、小田原市のそのものでも良いのかとも思いますが、検討のほどよろしくお願いします。
しおりの改善とともに、生活保護についての偏見や誤解がないように、利用対象者だけでなく、市民に制度を正しく理解をしてもらう取り組みが必要であるとし、市民の誰もが手にしやすいリーフなどの作成についても要望してきました。検討状況について伺います。利用者の意見をどのように反映しているのか、伺います。
小田原市では、生活保護の手続きの手順を具体的明記したしおりをそのままホームページに掲載しています。検討できないか伺います。
健康福祉局長 答弁③
生活保護のしおりについての御質問でございますが、生活保護制度の内容を広く市民の方に正しく理解していただくためには、よりわかりやすい表現と適切な周知のあり方が重要であると考えておりますことから、他の自治体の状況を確認するとともに、福祉事務所に寄せられた相談者の方々の意見等を参考にしながら、新たなリーフレットの作成を検討しているところでございます。併せて、制度を必要としている方に、広く情報が届くようホームページにリーフレットを掲載するなど、周知方法についても検討してまいります。
大庭 質問④
現在、相談者の方々の意見等を参考に新たにリーフレットの作成をしているとのことでした。ホームページにリーフレットの掲載することも検討していただけるとのことです。その内容とともに、しおりそのものをホームページに掲載していくことについても、検討をよろしくお願いしたいと思います。
小田原市では、ジャンバー事件後検討委員会をたちあげ、その構成員の中には、専門家や生活保護を利用する方も委員に加わり、率直な思いや意見を取り入れ、生活保護行政の在り方を考えることになりました。様々な実践をして現在では、保護行政の先進自治体となっています。
川崎市では、毎年3月に、生活保護自立支援室でしおりの見直し、検討がされるとのことですが、しおりの検討にとどまらず、利用者の視点を取り入れた小田原市の検討委員会に代わるような体制が必要と思います。見解を伺います。
健康福祉局長 答弁④
生活保護の運用についての御質問でございますが、しおりを含めた生活保護制度の運用につきましては、その制度内容が正しく伝えられるよう、また、広く確実に周知できるよう検討を行っていくとともに、福祉事務所長会議をはじめ、各職階ごとの会議等において、福祉事務所職員や相談者等から寄せられた意見等を十分に共有、検討することなどをとおして、引き続き適切な運用が行われるよう努めてまいりたいと存じます。
大庭 意見要望
今後も、注視していいきたいと思いますので、生活が苦しい方が安心して、福祉事務所で生活保護の相談ができるように、保護のしおりや運用の充実をはいかっていただくようお願いします。