おおば裕子
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12月議会・一般質問(5)市立高校における定時制の生徒の居場所づくり等について(12月19日)

5)市立高校における定時制の生徒の居場所づくり等について、教育次長に伺います。

大庭 質問①KIMG0197

今年の6月に、県内9か所の高校で「居場所カフェ」の活動を行う団体等が交流する「かながわ高校内居場所カフェ・サミット」に参加する機会がありました。

「居場所カフェ」は、高校とNPOなどの団体が連携し若者支援や福祉の専門家らが高校と協力して、校内で生徒が気軽に安心して過ごせるように、お菓子なども用意しながら、それぞれが工夫して場づくりをしています。

初めて開催された「カフェ・サミット」には、「カフェ」で、築かれた関係を元に、生徒一人ひとりが抱える課題をとらえて、中退や進路未定の卒業を防いだり、学習支援や状況に応じて関係する機関につないだりするなど、いい効果が生まれていると注目が集まり、当日は県立高校の教員をはじめ幅広い分野から多数の参加がありました。

我が党は、以前からこの高校生の居場所に注目をし、県内の全日制高校で最初に取り組まれた横浜にある県立田奈高校を視察し、市立高校にも高校生を支援する場づくりをつくるべきと質問をしてきた経過があり、現在の川崎市立高校定時制の「ぽちっとカフェ」につながっています。県内の居場所カフェも形態は一律ではなく各学校の特徴や地域性を活かした取り組みとなっています。

市内では、他に県立の川崎高校で「World caféふらっと」があり、市立高校では、高津高校定時制で、昨年の9月から始まり、今年の4月からは、運営団体が変わり「さくらカフェ」がスタートしました。

そこで質問ですが、他のカフェは、非営利団体などが運営を行っていきていますが、高津高校定時制の「さくらカフェ」の場合は、株式会社です。選考の経過について伺います。市立川崎高校定時制の「ぽちっとカフェ」と特徴の違いについて伺います。

教育次長 答弁①

定時制生徒自立支援事業についてのご質問でございますが、

初めに、委託業者の選定につきましては、公募プロポーザル方式により事業者を募集し、プロポーザル評価委員会により審査の結果、就労を支援する取り組みや学校と適切に連携をとる市営が評価され、「株式会社桜ノート」が選定されたものでございます。

次に市立川崎高等学校と高津高等学校における取組の特徴の違いにつきましては、本事業では両校とも「相談・個別サポート」「キャリアサポート」、「学習サポート」の3つの自立支援を主な目的としているところでございますが、川崎高等学校では、教員や保護者とは違った視点や立場から、生徒にアプローチすることができる身近な大人を配置した「相談・個別サポート」を中心に、また、高津高等学校では、就職や専門学校等の面接練習や就労を含む様々な相談に対応する「キャリアサポート」を中心に取り組んでいるところでございます。

大庭 質問②

先週、高津高校定時制の「さくらカフェ」に伺ってきました。授業が終わって、生徒たちが集まり、インスタントの味噌汁やお菓子を食べながら自由におしゃべりしたり、ウノのゲームが始まったりと、みんな明るくなごやかな雰囲気でした。この日は30名ほどの生徒たちがカフェですごしたり、立ち寄ったりしていました。生徒さんたちも、二人のスタッフの方とよく溶け込んでおいました。カフェについて聞いたアンケートでは、96%の生徒が、カフェに満足していると応えていました。

最初に立ち上げた、市立川崎高校定時制の「ぽちっとカフェ」では、開設するまでに、外部の団体と結びついて連携をしてくことへの戸惑いが学校側にもあったと伺います。一人ひとりの生徒が抱える生活上の課題など解決していくうえで、就労やときには必要な専門機関にむすびつけていくなど外部団体の力を借りるということについて、どう評価しているのか、学校や教職員の受け止め、地域とのつながりなど、課題について伺います。

KIMG0194教育次長 答弁②

事業の評価と課題についての御質問でございますが、

委託業者のスタッフが校舎内で事業を実施することにつきましては、当初、スタッフと生徒・教職員が良い人間関係を構築できるかなど、教職員に戸惑いもございましたが、運営方法等について打合せを繰り返すことで、本事業の趣旨への理解が進み、現在では実施時間内において、教職員がカフェで生徒やスタッフと一緒に過ごしたり、休み時間にスタッフが廊下などのカフェ以外の場で生徒と話しをしたりするなど、スタッフと生徒・教職員との良好な人間関係が構築されており、生徒と年齢の近いスタッフがいることで相談がしやすいなど、本事業が生徒たちにとって有意義なものとなっていると考えております。

また、川崎高等学校で本事業を行っている委託業者が実施する地域家イベントに、同校の生徒が参加するなど地域とのつながりも深まっているものと考えておりますが、事業の実施にたたりましては、相談・個別サポート以外の支援の充実や、集団に馴染めずカフェに入れない生徒への対応などの課題があるものと認識しております。

大庭 質問③

4月からカフェが開設して以来、「安心できる場あるんだよ」と、生徒たちに周知をして、今、信頼関係を築いている過程にあるのかなと思いました。他の居場所カフェともネットワークをもって交流し、また、市立川崎高校定時制でぽちっとカフェを経験された先生もおられて実践をされていたので、試行錯誤ではあるけれども、ひとひとりの生徒が抱える課題の解決につながっていくことに期待しています。

他の2つの定時制にも、広げていくことについて、伺います。

教育次長 答弁③

今後につきましては、現在実施している両校ではモデル事業を検証し、それぞれの定時制高等学校の特色や生徒の実態を踏まえながら、他校への展開も含め、生徒へのより効果的な自立支援について引き続き検討して参ります。

大庭 意見要望

橘高校・総合工科高校の2ヵ所の定時制高校にも、カフェ事業の実施を検討するということなので、着実に進めていただくようお願いします。併せて県立川崎高校には全日制にも開設しているわけですから、市立高校全日制にも条件を広げていけるよう要望しておきます。

また、今、実施している2か所のカフェは、週1回の事業です。今回、生徒たちの様子を目にして、1回の開設では不十分と感じました、週2回以上に開設できるよう、要望します。

スタッフの方々も新しい事業に踏み出すにあたり「かながわ高校生居場所カフェ」にも参加して、良い点を積極的に生かそう努力されていました。生徒との信頼関係を築くうえでこの事業は、継続性と専門性が必要です。株式会社が事業を受けたということで、信頼関係を築いている過程において、採算が取れず事業が継続できないということがないよう、今後も活動状況を見守っていいきたいと思います。