おおば裕子
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2020年川崎市議会第5回定例会(9月議会)詳報・その2

9月議会・決算審査特別委員会
文教分科会(市民文化局関係)質問

(2)市民文化総務費の外国人総合相談事業と市民交流事業について質問しました。(9月18日)

市民文化総務費の外国人総合相談事業と市民交流事業について、伺います。

質問①
 外国人総合相談事業は、2018年出入国管理及び難民認定法等の改正に伴う国の総合的対応策として、以前から川崎市国際交流センターに設置されていた外国人相談窓口を、2019年度から拡充したものです。拡充として在留外国人に対して、対応言語を7言語から11言語に増やし、「多文化共生総合相談ワンストップセンター」として開設しました。
 事業は、国の交付金の予算額1000万円に対し、整備費として653万円が支出され、パソコンなどの電子機器類などに支出をしたとのことです。窓口事業の拡充では、川崎市国際交流協会の職員の人件費について、663万円増額し1564万円を市民交流事業費から支出しています。
 2019年7月に開設され、窓口での相談内容の特徴と対応について伺います。
対面または電話等で多言語により受け付け、適切な情報提供、取次ぎを行う等、外国人市民の生活支援を充実させていく必要があるとしていますが、相談の内容から専門機関にどうつなげているのか具体的に伺います。
 電話で適切な情報提供がされるのか。オンラインの活用についても伺います。
職員体制の拡充について、また雇用形態について伺います。

答弁①
外国人総合相談事業についての御質問でございますが、
はじめに、相談の内容につきましては、「通訳・翻訳」、「日本語学習」、「在留管理」に関する相談が多くなっており、また、新型コロナウイルスの感染拡大以降は、給付金など各種支援制度に関する相談が増加しているところでございます。
次に、これらの相談への対応といたしましては、様々な制度に関する適切な情報提供のほか、専門相談や具体的な手続を行う窓口への取次ぎ等を実施しております。
また、各機関の窓口との連携を図り、相談者の事情に応じて、申請書等の記入や必要書類の準備に関する支援を行うなど、外国人市民の困りごとが円滑に解決するよう、丁寧な対応を行っているところでございます。
次に、相談の方法につきましては、対面のほか電話やメールでも受付をしており、電話による相談では、迅速に専門機関への取次ぎを行うなど、相談者の事情や相談内容に応じた適切な対応を行っております。今後は、相談者のニーズや新しい生活様式等も踏まえながら、オンライン相談の活用も含め、更なる利便性の向上に向けて検討してまいります。
次に、職員体制につきましては、拡充前においては、
常勤職員1名、非常勤職員7名の計8名で対応しておりましたが、拡充後の現時点におきましては、常勤職員1名、非常勤職員12名の計13名で対応をしております。

質問②
 続いて、2019年度川崎市外国人市民代表者会議年次報告書(12月末現在)では、外国人住民人口は45638人です。毎年増加傾向にあり、コロナ禍の影響もあったかと思われますが、2020年8月末は45681人とのことで、大きな変化がありませんでした。国籍は、中国、韓国、フィリピンの順に多くなっています。市内で外国籍をもつ方の就労についてですが、技能実習生として市内で働いている外国人の直近の人数と就労状況について、伺います。

答弁②
技能実習生についての御質問でございますが、
本市にお住まいの外国人住民のうち、在留資格が「技能実習」となっている方の人数は、令和2年6月末日現在で、 2,240名となっております。この方々につきましては、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」など、国の定める制度に基づき、各所において就労がなされているところでございます。

質問③
 国の外国人材の受け入れ共生のための総合的対応策によれば、①外国人との共生社会の実現に向けた意見徴収・啓発活動等、②生活者としての外国人の支援、③外国人材の適正・円滑な受け入れの促進に向けた取り組み、④新たな在留管理体制の構築としています。川崎市としての具体化が求められます。2019年度の市の年次報告書には、数項目にわたり提言が出されていますが、窓口業務にかかわって、取り組み中・検討中のB評価になっているのが気になります。例えば、その中には、「外国人市民の多様化する相談ニーズに対応できる専門的な知識をもった人材を養成し、問題解決の支援ができるようにする」や2005年度の「外国人市民情報コーナーの改善」、2011年度の「外国人市民実態を把握する調査の実施」など、10年が経過しているものを含め市民文化局に関すものが10項目ほどありますが、B評価です。窓口業務を充実するうえで急務ではないでしょうか。何が課題になっているのか、A評価にするための取り組みについて伺います。

答弁③
外国人市民代表者会議の提言についての御質問でございますが、
いただいた提言の中には、すぐに対応が可能なものと、一定の成果を得るのに時間のかかるものがございます。
今後も、提言の趣旨を踏まえた取組を継続しながら、目標とする成果を得られた取組については、「A」の評価を適用してまいります。

質問④
 つまり、「相談ニーズに対応できる専門的な知識をもった人材を養成し、また、育成する」ということは、非常に時間がかかるということです。外国籍をもつ方がこれまで以上に増加が予想される中、相談員が専門性を生かせるよう、安定した雇用で働き続けられる体制を求めておきます。また、「外国人市民情報コーナーの改善」など、すぐに対応できる内容も見受けられるので、改めて課題を明確にして速やかに改善していくよう要望しておきます。
 続いて、区役所窓口での支援についてです。外国人住民人口は、区別では川崎区が16839人で全体の36.9%を占めています。2番目は、中原区の6142人13.5%です。総合相談窓口が整備をされているのは、国際交流センターがある中原区ですが、川崎区住む外国籍の方が相談窓口に出向くというのは容易ではありません。これまでも、私たちは求めてきましたが、今度、さらに外国籍の方が増えることを考えれば、川崎区に相談窓口を整備すべきではないですか。伺います。 

答弁④
川崎区における相談窓口についての御質問でございますが、
川崎区内には多くの外国人市民が居住されておりますととから、川崎区役所における従来からの取組に加え、更なる利便性の向上を図るため、本年4月から庁舎の総合案内窓口に、英語及び中国語での対応ができる案内員を新たに配置し、庁舎案内や生活相談等を行っているところでございます。
案内員は、来訪した市民の具体的な状況に配慮した案内や相談に対応するほか、必要とする場合には、窓口まで案内員が付き添って、職員との通訳・翻訳を行ったり、申請書記入の補助をするなど、外国人市民の具体的なニーズに寄り添った対応を行っているところでございます。
今後につきましては、川崎区におけるこうした取組による対応状況や相談内容等を基に、具体的な市民ニーズを把握するとともに、国際交流センターにおける外国人総合相談の利用状況などと併せて、課題の検証を行いつつ、本市全体における効率的・効果的な外国人市民等への相談支援のあり方について検討を進めてまいります。

質問⑤
 4月から窓口案内として、英語と中国語での対応ができる方が配置されたとのことです。2番目に多いのが韓国籍の在住者です。実態もよく把握してハングル語で対応できる方の配置を求めておきます。
 そこで、国際交流センターの利用についてです。
 国際交流センター2019年度の来館者数221300人は前年度に比べ、0.2%増ですが、施設利用状況は48.5%で前年度の54.0%より下回り、5割を切っています。要因は何か、伺います。
 多くの外国籍の方に利用してもらうためにも、会議室の利用料金をせめて市民館と同じ額にするとか、交通アクセスの改善に取り組むなど、必要ではないでしょうか、伺います。

答弁⑤
国際交流センターの利用状況についての御質問でございますが、
施設全体の利用率につきましては、特に会議室や茶室の利用率が例年より下がったことが、全体利用率の減につながったものと考えております。その理由といたしまして、令和元年東日本台風や新型コロナウイルス感染症による施設利用のキャンセルの影響があったものと認識しております。より多くの外国人市民の方々に利用していただく取組につきましては、各種媒体による広報の充実など、施設の利用促進に向けた協議を関係者と行ってまいりたいと考えております。

意見要望
 市内に在住の外国籍をもつ方は国際交流センターの存在がほとんど知られていません。周知も含め、交流の場として活用できるように、会議室使用料の減免やバス一本で近くまでこれるアクセスなど、関係する(所管)局とも連携し、利用者を増やすように求めておきます。
 市内の在留資格「技能実習生が」についてです。 2,240名が在住しているとのことです。法律が改正した前後には、技能実習生への違法な労働実態のもとで生活苦しむ外国の方の報道が頻繁にされています。コロナ禍のもと帰国できず生活保障を求める方も多くいることが推測されます。川崎市は多文化共生を謳い、人権尊重のまちづくりを推進する立場から、技能実習生の一人ひとりの方の実態を掌握し、相談体制の強化を要望し、質問を終わります。