2022年 第5回川崎市議会定例会(12月議会)詳報・その3
第5回川崎市議会定例会(12月議会)/一般質問で、おおば裕子議員が行った質問は、次の通りです。
3:地域交通の充実及びデマンド交通の実証実験について
(3)地域交通の充実及びデマンド交通の実証実験について、伺います。
大庭 質問①
中原区と高津区の一部でデマンド交通の実証実験が行われています。主に中原区域についてですが、この地域の過去の交通アクセスの現状について、伺います。この地域を選択した経過と理由について伺います。
また、登録者数は11月末時点で約1000人、会員数は約500人で、それぞれ達成目標はあえて設けないとしています。地域への周知について伺います。
まちづくり局長 答弁①
コミュニティ交通についての御質問でございますが、
中原区におきましては、国際交流センターや市立井田病院等へのアクセス性の向上について御要望をいただいているのに加え、新型コロナウィルス感染症の影響による路線バスの減便もあり、コミュニティ交通の導入などについて御要望をいただいているところでございます。本実証実験につきましては、本年3月に取りまとめた、「コミュニティ交通の充実に向けた今後の取組」に基づく、民間事業者との連携によるICT等新技術・新罰度を活用した取組でございまして、市民の皆様や議会、各種団体などからの御要望等を踏まえモビリティ(移動性)サービスを提供する事業者と意見交換を行い、事業者が事業性等を基に対象とする地域などを選定し、本市が実証フィールドの提供に向けて、地域や関係事業者等との連絡・調整などについて支援を行い、実施に至ったものでございます。
地域への周知につきましては、町内会等での回覧や掲示とともに、エリア内の公共施設でのパンフレットの配架など、紙面により行っているところでございます。あわせて、停留所が設置されている市立井田病院やスーパーマーケットにおいて、特設ブースを設置した広報活動や会員登録会を行うともに、同病院と連携している医院等にパンフレットを配架いただくなど、広報を行っているところでございます。
大庭 質問②
この地域の特徴ですが、交通空白地域があるところです。国際交流センター、井田老人いこいの家、聴覚障害者情報センターなど、公共施設があり、依然運行していた地域です。しかし、井田病院と武蔵小杉駅を往復するシャトルバス、ブレーメン通り商店街などを運行する市バスは廃止、臨港バス62系統を減便するなど、交通アクセスが後退した地域です。私もこの議場で繰り返し市バスの新路線の開設、シャトルバスの復活などを含め交通アクセスの充実を求めてきたところですので、こうした形体で実証実験にいたったことについては、一定の評価をするものです。今後、地域に、高齢者が増えることから外に出る機会を増やして健康づくりの確保や、また、生活上必要としている方が利用できる公共交通として役割が市の責任としてあります。充実させていくことが必要です。
そこで、実証実験について、市民からの意見集約はどのようにされるのか伺います。登録者や会員だけでなく、利用しなかった市民からの意見集約も必要です。伺います。地域の声として、「実証実験の終了後、同様の事業者が継続するのかがわかない。電話番号など、個人情報が使用されるのが心配で会員にはなりたくない」との意見がありました。見解を伺います。
まちづくり局長 答弁②
コミュニティ交通についての御質問でございますが、
市民の皆様からの御意見につきましては、これまでの他地区における実証実験におきましても、紙面による意見集約やアプリを介したアンケート調査のほか、地域の皆様の御協力を得て、御利用いただいた方、御利用いただけなかった方、双方のヒアリングを実施することなどにより、実験結果の検証を行ってきたところでございます。
本実証実験におきましても、関係事業者や関係局区等と連携し、意見集約の実施方法等について検討してまいります。
次に、本実証実験における個人情報の取扱いにつきましては、本サービスに係る車両の運行、利用状況、意見調査、広告配信の目的にのみ利用し、他の目的には利用しない旨を「チョイソコ会員規約」に定められておりますので、地域の皆様の御理解をいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。
大庭 質問③
千葉県四街道市では、2023年度末まで、本市同様のデマンドバスを実施する予定でしたが、アンケート結果や市民が話し合い、「予約が面倒」という意見等多くがあったことにより、10月から定期バスに変更したとのことです。(ディスプレイ)約1300万円で7人乗りの電気自動車を購入。引き続き同車両を活用し、利用料は無料です。
愛知県豊明市は、本市と同じ「チョイソコ」です。2018年からタクシー事業者など多くの市民から意見を聞き、3年間実証実験を行ったうえで、2021年から本格実施をしました。この地域は、デマンド交通以外に路線バスも運行しています。(ディスプレイ)
デマンド交通を実施した自治体では、地域の実情を把握して、本格運行をしているのが特徴です。
本市においても、多くの方が利用できるように無料にし、多様な意見を聞いて事業に反映できないか、伺います。2月までの実証実験で終わらせず、継続させるべきです。伺います。デマンド交通の運行に依拠するだけでなく、市バスの併用などを実施して多様なニーズをくみ取り、検証すべきです。伺います。
まちづくり局長 答弁③
コミュニティ交通についての御質問でございますが、
はじめに、本格運行に向けましては、事業採算性の向上は非常に重要なことと認識しておりまして、事前登録の上で御利用いただくデマンド交通につきましては、利用者の属性や乗降した停留所などの利用状況を詳細に分析できることから、様々な地域特性や移動ニーズに応じた利便性向上に向けた取組を行うことで、事業採算性の向上につなげていきたいと考えております。
また、周辺の商業施設や企業等からの協賛を得ることで、より一層の採算性の向上が図られるものと考えております。
今後につきましては、本実験を通じて得られた知見や データを共有し、本市での導入可能性や既存父通への影響などを踏まえ、民間事業者と連携しながら、事業性・継続性について検証を進めてまいります。
意見要望です。
「個人情報がどう扱われるか心配」と話しをした未会員の方は、「情報を川崎市が管理をして対応してほしい。その方が信頼できる」とのことです。こうした意見を尊重し対応を検討することを求めておきます。
結果を検証する上で、多様なニーズを把握するのに有効なのは、運賃を無料にすることです。幅広い層に利用してもらい、その結果を踏まえて、豊明市のように市バスの併用など、その地域の特性を生かした交通アクセスの在り方を検討するよう求めておきます。
地域で話を聞いて歩きましたが、デマンド交通はほとんど知られていません。浸透するのに一定の時間がかかります。実証実験は、2023年2月で終了するではなく、再度、継続して検証していくことを要望しておきます。